ニュース

2024.01.19

サムスン電機、16V級世界最高容量の自動運転車用MLCCの開発

▶16V(ボルト)級電装用MLCCのうち、業界最高容量を実現
- 自動運転車のデータネットワークの核心である「ゲートウェイ」に搭載
- 自動運転半導体への安定した電源供給と信号伝達で安全な運行を支援

▶自動運転/電気自動車時代、高電圧・高容量MLCC搭載のニーズが増加

▶サムスン電機、電装用MLCCのラインナップを拡大して電装事業を強化

 

サムスン電機は、今月19日、自動運転車に欠かせないシステムであるADAS(Advanced Drive Assist System:先進運転支援システム)に搭載される高電圧・高容量MLCCを開発すると共に、高性能電装用製品のラインナップを拡大して市場に積極的に乗り出すことを明らかにしました。

 

※ MLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor)

電子製品の回路に電流が一定かつ安定的に流れるように制御する部品、スマートフォン、PC、ITデバイス、家電製品、自動車、5G、IoT関連製品に幅広く使われている。特に自動車には動力伝達、安全、走行、インフォテインメントなどに少なくとも3,000~1万個のMLCCが搭載される。

 

今回開発したMLCCは、16V(ボルト)級の高電圧の特性を持つ製品で、0603サイズ(横0.6mm、縦0.3mm)、100nF(ナノファラット)容量と1608サイズ(横1.6mm、縦0.8mm)に4.7uF(マイクロファラット)容量を持つ製品の2種類です。

 

 

▲(左)0603MLCC(100nF)と(右)1608MLCC(4.7uF)

 

同製品は、自動運転の中核装置であるゲートウェイ(Gateway)モジュールに使われます。

 

車載用ゲートウェイとは、車内でそれぞれADAS機能を統合管理し、データを安全に転送するコアシステムで、半導体の間で高速かつ正確に信号を転送するためには、安定した電源供給と信号ノイズの除去が欠かせません。

 

特に、自動運転機能の高度化と電気自動車の高速充電、走行距離の増加により、超小型、高容量、高電圧のMLCCが求められています。

 

今回開発した2種類は、同じサイズにおいて業界最高の容量と高電圧を実現した製品です。

 

通常、MLCCは電圧と容量特性を同時に満たすことが難しいと言われています。電圧特性を高めるために電気を保存する誘電体を厚く設計すると、積層可能な内部の誘電体層の数が減るため、容量を増やすことは難しいです。

 

サムスン電機は、中核原材料である誘電体セラミックパウダーをナノ単位レベルに微細化して高容量を実現しました。

 

また、独自開発した添加剤及び新工法の適用により、誘電体内の空き空間を最小限に抑えることで、高電圧でも安定的に動作することができます。

 

サムスン電機コンポーネントソリューション事業部長兼副社長のチェ・ジェヨル氏は、「自動車の電装化により、小型・高性能・高信頼性MLCCへのニーズが急増している」とし、「サムスン電機は、MLCCの核心原材料を独自開発・製造して技術競争力を高めると同時に、設備の内製化と生産能力の強化を通じて電装用のラインナップを拡大するなど、電装事業を強化していく」ことを明らかにしました。

 

サムスン電機は、超小型、超高容量MLCC部門の技術力に基づき、高温・高圧・高信頼性を備えた電装製品のラインナップを強化しており、グローバル自動車部品メーカー及び完成車メーカーを対象にMLCCの供給を拡大しています。

TOP